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バタンインコのバタンの由来

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バタンインコという名称はよく耳にしますが、具体的にバタンインコはどのインコ(広義の)を指しているのでしょうか?

バタンインコを英語に訳すと

True White Cockatoos

になります。要は白色オウムですね。硬く翻訳するなら「真正白色オウム」。広義ではインコに違いありませんが、一般的にはインコではなくオウムと言った方が分かりやすいと思います。ちなみに学術名はCacatua(カカチュアー)。

Cockatooはオウム全般を指し、フィリピン、ソロモン諸島、そしてオーストラリアにかけた地域に生息する白色のオウムが「True White Cockatoos(Cacatua)」に分類されています。

この「True White Cockatoos(Cacatua)」には、11種類のオウムが含まれています。

  1. コバタン(Yellow-crested Cockatoo)
  2. キバタン(Sulphur-crested Cockatoo)
  3. ルリメタイハクオウム(Blue-eyed Cockatoo)
  4. タイハクオウム(White Cockatoo)
  5. オオバタン(Salmon-crested Cockatoo)
  6. テンジクバタン(Long-billed Corella)
  7. ヒメテンジクバタン(Western Corella)
  8. アカビタイムジオウム(Little Corella)
  9. シロビタイムジオウム(Tanimbar Corella)
  10. ソロモンオウム(Solomons Cockatoo)
  11. フィリピンオウム(Red-vented Cockatoo)

でも、ここには

  • コキサカオウム
  • アオメキバタン

などの白色オウムが含まれていません。

その理由は、コキサカオウムはコバタンの亜種、そしてアオメキバタンはキバタンの亜種になるためです。

コバタン コバタン(Cacatua sulphurea)
コキサカオウム
マメコバタン
コガタコバタン
シマコバタン
ロンボクコバタン
キバタン キバタン(Cacatua galerita)
アオメキバタン
アルーキバタン
ホクゴウキバタン
オーストラリアキバタン

こんな感じ。

バタンインコは白色オウムなので、バタンインコと言いながらも、中には「オウム」という名称を持つものもいます。ほんとインコの世界はややこしいです。

ともかく、これらの11種類のインコを総じてバタンインコ(True White Cockatoos)と呼ぶ訳ですが、なぜ「バタン」という名前が付いたのかについてはWikipediaにも書かれておらず分かりません。

英語名にそのヒントが隠されていないかと思ったんですが、英語名Cockatooの起源は白色オウムを指すマレー語の

Kakatuwah

にあり、このKakatuwahがオランダに伝わった際に

kaketoe

となり、それが英語圏に伝わった際に、とさかのある雄鶏を指すCockの影響を受けて、

Cockatoo

になったものと考えられています。

学術名の「Cacatua」も起源はマレー語の

Kakatuwah

にあります。

それらの流れには、残念ですが「バタン」の要素は微塵もありません。

恐らくヒントは漢字で書く時の「巴旦」にあるものと思われます。

日本で巴旦は既に白色オウムのバタンを指す言葉になってしまっています。

バタン(巴旦)

オウム目オウム科のコバタン・キバタン・オオバタンらの鳥。飼い鳥として人気のある種が多いが,原産地では絶滅が危惧される種もある。

出典:三省堂 大辞林

ただ、調べてみたところ、バタンインコを漢字表記した時の巴旦鸚哥の「巴旦」は中国語で東南アジアのある場所を表していました。

その場所とは、

巴丹半岛(バターン半島 in フィリピン)

バタンインコの名前の由来となった「バタン」はフィリピンの地名「Bataan」

正式な地名はバターン(Bataan)ですが、漢字「巴丹」になり、日本に伝わった際に「巴丹」が「バタン」と読まれたために、「巴丹鸚哥」はバタンインコと呼ばれることになりました。

もし正式な発音と共に伝わっていたら、

  • バターンインコ
  • キバターン
  • コバターン

になっていたかも知れません。それはちょっとどうかと。。。

バターン半島という地名は、歴史を勉強した人にはピンと来ると思います。

これは1941~1942年に繰り広げられた「フィリピンの戦い(Battle of the Philippines)」で、日本軍が行った忌まわしい

バターン死の行進(Bataan Death March)

の舞台となった場所です。

恐らくバターン半島に生息していたインコが捕獲され、中国へ連れていかれ、紹介された際に生息していた土地の名前「巴丹(Bataan)」にインコを表す「鸚哥」が合わさって

巴丹鸚哥

という名称ができたものと考えられます。

それが日本に伝来し、バタンインコという名称になった(本当はオウムですが)と考えるのが自然です。

そうなると、このインコの種類は1種類に絞られます。

それは

フィリピンオウム(Red-vented Cockatoo)

巴旦鸚哥 フィリピンオウム

ちょっとこの写真、右足が無くなってますけど。。。心霊写真?

恐らくは誰かの手が写り込んだものを消す時に勢い余って右足までやっちまったんではないかと。というか、良くみると薄っすらと人間の手が写っていて更に気持ち悪い感じになっています。パブリックドメインで使わせて頂いている分際でとやかく言うべきではないのかも知れませんけど。

元々はフィリピンに広く生息していて、1990年台には未だ1000~4000羽が生息していると言われていましたが、2008年の時点で1000羽以下と言われていますので現在では生息数は更に少なくなっているものと思われます。絶滅が非常に危惧される近絶滅種・絶滅寸前種とされています。

フィリピンオウムが白かったために、それ以外の白いオウムもバタンインコと呼ばれることに

中国に渡ったフィリピンオウムがバターン半島で捕獲された個体であった(またはそう考えられた)ために、中国では

巴丹鸚哥

と呼ばれ、日本に渡来した時にバタンインコ(巴丹鸚哥)と呼ばれることになりました。

ただ、

  • 冠羽がある
  • 白い羽

という認識だけでは、数ある白色オウムのどれがどれだか分からなくなってしまい、本来はバターン半島に生息していたフィリピンインコだけをバタンインコ(巴丹鸚哥)と呼ぶべきであったところを、そのうち白いオウムを「バタン」と呼ぶことになってしまい、その中で特色に応じて

  • オオバタン(大巴丹):大きかったから
  • コバタン(小巴丹):ちょっと小さめだから(でも、本家のフィリピンオウムと同じか少し大きい。。。)
  • コガタコバタン(小型小巴丹):コバタンよりも更に小さいから
  • キバタン(黄巴丹):冠羽が黄色かったから
  • テンジクバタン(天竺巴丹):オーストラリア原産だけど、そんな国は聞いたことないから「天竺(インド辺り)」にでもしとけ的な感じ(天竺鼠が南米原産なのと同じ感じっぽい)

そして、時は流れ、バタン・オブ・バタンであるはずの

Red-vented Cockatoo(Cacatua haematuropygia)

が日本へ正式に紹介された時には、既に◯◯バタンと命名する時代が過ぎてしまっていたために、本来(命名のルール上)は

バタン

と呼ばれるべきだったところが、

フィリピンオウム

と普通の名前が付けられてしまいました。きっとこの命名には鳥類学者が関わっていたんでしょう。すっきりして分かりやすいですが、他のバタン達をそのままにしてここだけ「フィリピンオウム」としたのはちょっと残念です。

本家はフィリピンオウムと命名されましたが、残ってしまった「バタン」達

バタンはそもそもバターン(Bataan)だし、キバタン、オオバタン、コバタン(コガタコバタンなんて名前も。。。)、テンジクコバタンと「バタン=白色オウム」と思わせる使い方をしながら

バタンインコ

なんて呼び方が残っているし、もうカオス。バタンインコって。。。「白色オウムインコ」ってことになっちゃいますけど。

ただ、いまさらバタンが付いている種類のオウムを別名に置き換えるのも混乱を生みそうなので、バタン達はバタンのままでも仕方がないと思いますが、せめて「バタンインコ」という呼び方だけは廃止した方がいいのではないかと思います。

バタンインコという呼び方を止めて、

カカチュアー

って呼んでしまってはどうでしょうか?学術名を別途覚える手間も省けますよ。

巴旦鸚哥 フィリピンオウム

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